約50年におよぶキャリアの代表作を網羅
フィンランドを代表するセラミック・アーティスト、ルート・ブリュック日本初の大規模展「ルート・ブリュック蝶の軌跡」が、4月27日に東京ステーションギャラリーで開幕し、2年間で5会場の巡回が始まります。作家の生涯、作品の図版、論考を網羅した決定版の展覧会図録を出版します。
最初期の絵付け(1940年代)、「蝶」「鳥」「母子」「建物」のシリーズ(1950年代)、そしてタイルを組み合わせた抽象的なモザイク(1960~80年代)まで、約180点のセラミック作品を中心に、日本巡回展の内容を完全収録した内容です。
A4サイズの大ぶりな判型で、釉薬や図柄のニュアンスまでしっかり伝わり、展覧会の鑑賞体験そのものを一冊に閉じ込めたイメージです。会場や書店でぜひ手にとってご覧ください。(展覧会会場では会期初日の4月27日から販売されます)
アラビアの美術部門に入って間もない頃の、既成品への絵付け作品も一点一点丁寧に収録しています。
キャリアの前期と後期をつなぐ重要な作品「蝶」のシリーズは、会場で展示される数十点の作品を1ページに1点ずつ、ほぼ原寸大で掲載。小さな模様の細部までしっかり見ることができます。
年代順およびモチーフごとにまとめて収録しています。
同じようなモチーフでも、釉薬の違い、バージョンの違いを比べて楽しめる構成になっています。
作品ひとつひとつを丁寧に紹介
全300ページを贅沢に使い、ブリュックの作品を制作年代順やモチーフごとにグルーピングし、まるで白い展示台に載せてお見せするように、一点一点大切に紹介。ゆるやかに変化していく作風の足跡をたどります。また、膨大なコレクションを寄託され、ブリュックの研究を進めるエスポー近代美術館によるテキストで、制作背景や技法についても踏み込んで解説します。
ブリュックのバイオグラフィに加え、美術史や陶芸技法から見た作品の味わい方を各専門家が寄稿し、より奥行きのあるブリュックの世界へとガイドします。
釉薬の見本、石膏型、テキスタイルなど、初公開の貴重な資料も紹介。
晩年の大作「流氷」など、現地の公共建築に常設されている大型レリーフの重要な作品も大きな写真で掲載します。
高級感ある装丁と秘蔵のポートレート、宝物のような一冊
本図録のためだけに特注の色で染めた布で装丁しました。箔押しと小さなポートレートが大切な書物に封をするように添えられます。別丁のグラビアページには、ブリュックの制作風景や、家族による秘蔵のポートレートを掲載。いつまでも大切に持っていただけるような一冊です。
巻頭にブリュックのポートレートを集めました。自らのことや、作品についてほとんど語ることのなかったブリュックの人となりやたたずまいを感じられるグラビアページです。
小さな窓の向こうにブリュックがいるような表紙。布の手触りもあたたかみがあります。