新型コロナウイルスの影響で会期を大幅に延期し、ようやく6月6日に開幕した「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展。会場の岐阜県現代陶芸美術館では電話による事前予約制を取り、万全の対策でご来場の皆さまをお迎えしています。
いらしてくださった皆さまからはSNSで、「事前予約制で、作品をゆったり見られてよかった」「作品の色使いが深くて、本当に格好良かった」「立体的な作品は実際見ると全然違う。質感と奥行き感は見ないとわからない」「美術館も森の中のとても良い所にあって、はるばる行って良かった」などなど、素敵な写真と共にうれしい感想が続出!本当にありがとうございます。
というわけで、美術館での展示のようすをご紹介します。美術館スタッフがスマホで撮影したライブ感ある写真で、少しでも雰囲気をお伝えできれば。そして、ぜひ会場で本物をご覧いただけたら!
(岐阜県現代陶芸美術館のインスタグラム@momca.gifu.museumでは引き続き展示のようすを更新していきます。ぜひご覧ください。https://www.instagram.com/momca.gifu.museum/)
岐阜県現代陶芸美術館のエントランス。代表的な作品のビジュアルがお出迎え。
エントランスの作品は、ルート・ブリュックの長女で現代アーティストのマーリア・ヴィルカラさんによるインスタレーション《心のモザイク》。5メートル超の土台(日本の茶箱)に、母が残したタイルのピースを年代順に並べ、作風の変遷を描いています。
カラフルなタイルピースたちは、展示の後半でたくさん登場しますよ!
展示室に入るとまず、ブリュックがイラストレーターとして制作した版画やイラストなど、陶芸の道に進む以前のキャリアを紹介。
前半のハイライトがこちらの壁。大人気《ライオンに化けたロバ》をはじめとする、主役級の作品が集結します。
目線の高さで、じっくり、ゆっくり、ディテールをどうぞお楽しみください。
《ライオンに化けたロバ》は、実はモノクロバージョンもありますので探してみてください。カラーバージョンよりもちょっと小ぶり?ロバわかりやすい?違いを比べてみてくださいね。
壁の裏面には、人気の建物シリーズが並びます。同じ形でも色違いの作品を見比べてみてくださいね。模様も少しずつ違うんです。
岐阜会場では展示室の広さを生かして、ブリュックがデザインしたテキスタイルもダイナミックに展示。ブリュックのたぐいまれな色彩感覚を体感できる空間です。
代表作のひとつ《蝶》の陶板も、1点ずつ異なる色の幅広さと奥行きを楽しめます。
《都市》。さあ、ブリュックの作風が今までと様子が少し変わってきたことにお気づきでしょうか?
岐阜会場でイチオシの《ヘキサゴン》。実は壁に埋め込まれて、パーテーションとしても使われていたとか。
裏側に回ると青系のタイルでまとめられています。ちなみにミュージアムショップでは、《ヘキサゴン》の柄を転写したタイルも販売中!岐阜会場のための特別グッズです。
(ちなみにこれです、これです!)
3章。展示もいよいよ後半。《イコン》シリーズは、金彩と陰影による絶妙な立体感と、陶の表面に転写されたかわいらしい絵柄が見どころ。
ふたつの作品のタイトルはどちらも《ジャイプル》。ブリュックがインドを旅した時の印象を描いたとか。ブリュックって実は、旅が大好きなジェットセッターだったんですね。
4章。目が醒めるほど鮮やかなタイルを組み合わせて作ったレリーフ作品。遠くからも、近くからも、ずっと眺めていられるんです。
パズルやブロック遊びのよう。キャンディカラーの釉薬も、ひとことで「黄色」や「緑色」と言っても、ひとつひとつ全く異なる表情なのです。
カラフルな時代を経て、少しずつ世界観はモノトーンに。作品のサイズも大きくなっていきますよ。
正面からだけではなく横から見ると、かなりボコボコと立体的であることがわかりますね。
照明の光がタイルにキラキラと反射しています。自分が立つ位置によっても見え方が変わります。
5章。最後は屋外の光を取り入れた、白の部屋。
《色づいた太陽》。タイルが織りなす光と影、タイルに刻まれた繊細な模様がブリュックの壮大な宇宙観を表します。(本当、これ大好きです)
《春の雲》。瞑想気分。なんだかここまで来ると、もう言葉はいらないような気がしてきました。。
展示のラストを締めくくる、晩年の《レリーフ》。小さめの作品ですが、ブリュックにとってとても大切な、ひとつの到達点。最後の一点、どうか、じっくりご覧ください。
会場の外に出ると、あら、またはじまり。ミュージアムショップに直行する前に、もう一度だけ《心のモザイク》でブリュックの旅を振り返るとしますか。
改めて《心のモザイク》を前にすると、これまで見てきたブリュックの作品のひとつひとつがよみがえってくるようです。楽しんでいただけましたでしょうか。会場でお待ちしています。