THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

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THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

新潟散歩②新潟市水族館マリンピア日本海

しばらく浜辺に立って海を見ているうちに、もっと日本海について知りたくなった。自転車をさらに走らせ、近くの水族館に行ってみることにした。

日本海にスポットを当てた新潟市水族館マリンピア日本海は、今年30周年。目玉は、日本海の環境を再現した水量800立方メートルの大水槽である。造波装置による潮騒を聞きながらスロープを降り、浅瀬から海中深くへと入り込んでいく。まさに海中散歩である。

説明によると、約2000万年前から1000万年前にかけて、大陸から陸地の一部がちぎれて日本列島ができ、約200万年前に日本海が形づくられた。対馬海流が流れこむ現在の日本海の状態になったのは、約1万年前から8000年前だという。また、日本海は太平洋よりも干満の差が小さいため、磯の上部には付着生物がいないことも特徴だそうだ。日本海と太平洋の雰囲気が違って見えるのは、こうした成り立ちや環境の違いにもよるのかもしれない。

さて、海中散歩である。頭上をホシエイが飛び交うアクリルのトンネルを抜けると、大観覧面に日本海の沖合が広がっていた。40種もの魚が群れをなし、悠然と泳いでいる様子は、幻想的な壁画のようだ。ベンチに腰かけて、マアジ、マイワシ、マサバ、マイワシらの回遊を眺める。この景色はヒーリング効果がすこぶる高い。(そして、どれも美味そうだ)

他にも、この水族館館では2013年に「のどぐろ」で知られるアカムツの人工育成に成功したそうで、水槽には大量の高級魚が鱗をきらめかせて泳ぎ回っていた。(そして、滞在中に必ず食べたい、と思った)

信濃川上流から下流までの生き物や環境を伝える展示も

屋外スタジアムのイルカショーも名物とのことだが、この日の予定はすでに終了。その代わり、屋内プールでこの夏生まれたカマイルカの赤ちゃんを展示していた。新潟沿岸にも現れるというカマイルカの親子が、仲良く泳いでいた。

母親の方はすっかり飼育員に慣れ、お腹をマッサージしてもらってはジャンプを繰り返していたが、子どもはまだ様子がわからずにいる。飼育員が手を伸ばしてもするりと避けて深く潜り、お母さんに甘えるのである。これもまた、ヒーリング効果の高い光景である。

外のプールでは、丸々としたアザラシが陸に寝転がってひなたぼっこをしていた。いい気なものだと、うらやましく観察していると、そのアザラシは時々、体を細かく震わせるのであった。近くで見ていた人たちも、「どうもプルプルしているね」と話していた。後日、この原稿を書くために水族館のホームページにアクセスしたら、私が訪れた翌日に30歳のバイカルアザラシ「めん」が心不全で死亡した、と書かれていた。死んだのは、あの震えるアザラシであったのだろうか。ご冥福をお祈りします。

閉館の時間が近づき、すっかり人がいなくなった建物の外に出ると、背後下方から、「おい」と野太い声が聞こえたような気がした。振り返ると、岩の穴から一羽のフンボルトペンギンが顔をのぞかせ、こちらを見ていた。静かになったので、これから散歩にでも出かけるのである、というような態度で穴から這い出してきた。

その時、まもなく閉館を知らせる放送が響いた。日本海のことを知るためには、同館の充実した展示と向き合う時間がもっと必要であった。しかし私は久しぶりの水族館を満喫し、すっかり心満たされていた。

新潟市水族館マリンピア日本海

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