THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

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THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

Photo: Tapio Wirkkala / Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation
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ルート・ブリュック

ルート・ブリュックはフィンランドを代表するセラミック・アーティストです。

ルート・ブリュック 1916−1999 は、オーストリア人の父フェリクスとフィンランド人の母アイノのもとに生まれ、幼少期をストックホルムで過ごしました。
蝶類の研究者で画家でもあった父の影響で自然や美術に親しみ、学生時代は建築家になりたいという夢を持ちますが、周囲から反対されて断念。グラフィックデザインに転向すると、その繊細で詩的な世界観がアラビア製陶所の目にとまり、1942年に美術部門のアーティストとして入所します。

繊細な色彩の魔法 ― 前期

陶芸の経験も知識もなかったブリュックはアラビア製陶所で懸命に技術を習得しました。1950年前後に職人たちと共に独自の成型技術を開発し、巧みな釉薬技法とスタンプやエングレービングによる加飾でオリジナルの陶板をつくりました。果物や鳥、建物など日常的なモチーフを描いた陶板は、戦後のフィンランドの人々の生活に彩りを添え、イタリアのデザイン展(ミラノ・トリエンナーレ)でグランプリを受賞するなど、美的価値を追求したアプライドアート(応用美術)として高く評価されました。

タイル壁画の迫力 ― 後期

50年代後半以降、具象から抽象表現へと流れるように変化していく作風もみどころのひとつです。もともと「建築家になりたい」という希望をもっていたブリュックは、1970年代後半から教会や市庁舎など公共建築のための大型壁画を手がけます。数千数万という膨大な数のタイルを手作業で組み合わせ、繊細さと力強さと共存するモザイク壁画は、高度な技術と類まれな造形・色彩感覚が融合した、ブリュックの芸術の真骨頂といえます。

夫は世界的デザイナーのタピオ・ヴィルカラ

ブリュックの夫はフィンランド・デザインの巨匠、タピオ・ヴィルカラ(1916−1985)です。才能あふれるアーティストとデザイナーのカップルはお互いのクリエイションに敬意を払い、愛に満ちた家庭を築きました。ブリュックの制作や家事に対するヴィルカラの献身的な協力は当時のフィンランドにおいては稀有なことでした。
ブリュックは、各地でプロジェクトを手がける夫と共にさまざまな国を旅してインスピレーションを得た一方、一家で毎年ラップランド北部に長期滞在し、独特の風土と自然に着想を得たものづくりを貫いたのです。

Photo: Maaria Wirkkala, Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation
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