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「結婚式」1944年

憧れと切なさが綯い交ぜに

Rut Bryk, “The Wedding”, 1944, TWRB Foundation / EMMA
© KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2018 C2396
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アラビア製陶所に入る以前は、イラストレーターとして雑誌の表紙や版画を手がけていたブリュック。そのロマンチックで詩情あふれる世界観がアラビアの目にとまり、1942年に美術部門に入りました。

当初、陶芸の知識も経験もなかったブリュックに期待されたのは、彼女が得意とするおとぎ話の世界を絵皿の上に描くこと。可憐な花々に集まるミツバチや昆虫、森に遊ぶ妖精や少女たち。この頃、ブリュックが好んで描いたこれらのモチーフと同じように、たびたび登場したのが「結婚式」のイメージです。

縦47.5センチ、横76.5センチの大きなプレートいっぱいに描かれているのは、少女たちが憧れる祝福の日。淡いピンク色の背景に咲き乱れる赤や黄色の花。可愛らしいチャペルの上には、天使が舞い降ります。けれど、新郎新婦に笑顔はなく、全体にメランコリックな雰囲気が漂っているようにも感じられるのです。

ブリュックは12歳の時に両親の別離を経験しました。
それから時が経ち、この作品を制作した1944年には、同僚のビルゲル・カイピアイネンの紹介で、デザイナーで彫刻家のタピオ・ヴィルカラと出会いました。そして、ふたりは翌1945年に結婚するのです。

少女時代に経験した悲しい別れと、現在の幸せな出会いに踊る心。一枚の絵皿に、ブリュックの揺れ動く心境が見え隠れしているようです。

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