THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

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THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

「“アッシュ・トレイ”」1960-1969年

不思議な模様に惹きつけられる。

Rut Bryk, “Ashtray”, 1960-1969
Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation / Espoo Museum of Modern Art
© KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2018 C2396
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1950年代から60年代はじめにかけて、ブリュックはたくさんの幾何学的なタイルをつくりました。表面いっぱいに、さまざまな押し型で細かい模様をつけたり、顔料で色をつけて、それ自体が作品のような、とても装飾的なタイルです。

ブリュックは、さらに、それらのタイルを組み合わせて、小ぶりのレリーフから大きな壁画作品まで展開していきました。
例えば、「都市」(The City 1958年)という作品では、このタイルを敷き詰めた上に、建物に見立てたキューブを並べて、小さなセラミックの街をつくりあげました。その後、フィンランド銀行の頭取室につくられた暖炉(1962年)にも、このタイルが使われています。「タイル」(建材、モジュール)という表現方法を編み出したことで、ブリュックの目線は作品だけでなく、それを取り巻く空間・環境へと広がっていきます。

さて、1960年から69年にかけて数多くつくられた「“アッシュ・トレイ”」には、このタイルと同じ装飾技法が用いられています。このシリーズには、いくつかの異なるサイズがあって、色も、模様も、ひとつひとつ個性があります(裏側まで隙間なく装飾が施されています)。遠い国の民族の伝統的な装飾か、はたまた、宇宙から届いたメッセージか。不思議だけれど、どこか懐かしい感じもする、この模様のイメージはいったいどこからくるのでしょうか。

ちなみに、「“アッシュ・トレイ”」というタイトルは、ブリュックの夫であり、世界的デザイナーであるタピオ・ヴィルカラが名付けました。タピオ自身が実際にそれを灰皿として好んで使っていたそうです。

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