名古屋「WIND AND SEA」のオーナーが語るルート・ブリュック
北欧やフィンランドの品を取り扱うお店のオーナーたちに、ルート・ブリュックについて語っていただきます。
第1回目は、名古屋の「北欧家具、雑貨 WIND AND SEA」。運河沿いの倉庫街にたたずむ一軒家の、隠れ家のようなお店には、オイヴァ・トイッカ、カイ・フランク、タピオ・ヴィルカラといった、スター・デザイナーたちの作品がところせましと並び、まるでイッタラやアラビアのミュージアムのようです。そんなお店のオーナー、木下啓介さんが、ブリュック作品との出会いについて語ってくれました。
――お店の紹介をお願いします。
「北欧家具、雑貨 WIND AND SEA」は、北欧諸国、特にフィンランドを中心に優れたデザインのビンテージ家具や雑貨を販売しているショップです。
年に6回ほど買い付けすることにより、現地の最先端のトレンドをキャッチし、日本ではまだ無名な作家を含め、いち早くお客様にご案内できるよう心がけております。
取扱商品は、オイヴァ・トイッカ(Oiva Toikka)をメインに、カイ・フランク(Kaj Franck)、アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)、イルマリ・タピオヴァーラ(Ilmari Tapiovaara)といった有名デザイナーの他にも、ルート・ブリュック(Rut Bryk)、アンニッキ・ホヴィサーリ(Anikki Hovisari)、ライヤ・トゥーミ(Raija Tuumi)、マルック・サロ(Markku Salo)、アヌ・ペンッティネン(Anu Penttinen)など、現地では評価が高いのですが、まだ日本では馴染みのないデザイナーの作品も数多く取り揃えております。
――ルート・ブリュック作品との出会いについて教えてください。
いつもお世話になっているフィンランド人ディーラーのお宅で晩御飯を食べていた時に、「面白い物が手に入ったから見てみるか?」と言われ、初めて見たのが、鮮やかなピンク色の釉薬と、プレートの真ん中に大小二羽のバタフライが描かれている陶板でした。
表面は細部まで繊細なデザインが施されており、裏返すと鮮やかなコバルトブルーの釉薬が塗られており、その美しさにかなりの衝撃を受けたのを覚えています。残念ながら、「その時はまだ譲れない」と言われ、買い付けできなかったのですが、その後も何度もお願いして買い付けてきた、思い入れのある一品です。
その後、EMMA(エスポー近代美術館)で開催されていたルート・ブリュック展で作品を見て、その素晴らしさにただただ圧倒されたのを覚えています。
――ルート・ブリュック作品のどういったところが好きですか。
枠にとらわれない独創性あふれる作品たち。年代によって作風も色使いも全く違うけど、作品を見ればブリュックらしさが見えるところが好きです。
1940年代の初期の作品も好きですが、50年代から60年代にかけての作品が特に好きです。
――お店で取り扱っているブリュックの作品がありましたら、ひとつ紹介してください。
大きさが約11センチのほど小さな花瓶(一輪挿し)です。制作年代は1960年代後半あたりに、同じ作風の作品を発表しておりますので、その時期に制作されたものと思われます。小さい作品ながらブリュックらしさがあふれる素敵な作品だと思います。
――日本でのルート・ブリュック展で見てみたい作品はありますか。
「Pullout / Bottles」(1957年)。
展覧会で見たなかで、とても印象に残っている作品です。
――フィンランドに行かれる機会も多いと思いますが、オススメのスポットを教えてください。
アラビアミュージアムと、リーヒマキグラスミュージアムです。