アーティストである。母親である。
Rut Bryk, Äiti ja lapsi / Mother and Child, 1950
Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation’s Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art
© KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2018 C2396
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1945年にタピオ・ヴィルカラと結婚したブリュックは、1948年に息子サンプサ・サミを授かります。1950年に制作されたこの作品は、母親となったブリュックの個人的な体験と、長年愛する初期ルネッサンス絵画における「聖母子」のモチーフが重ねられているようです。
また1954年には娘マーリア・ピリッタが誕生し、「ピリッタ」(1955年)、「キルト」(1956年)、「肘掛け椅子」(1957年)、「ダンス」(1957年)といった、母と娘をテーマにしたシリーズを制作します。(全て展覧会でご覧いただけます)
当時、人気アーティストとして多忙を極めていたブリュックにとって、家庭と仕事の両立は課題だったに違いありません。娘を大切そうに抱きかかえながらも、どこか遠い目で宙を見つめる母親の姿に、そんな複雑な思いが隠れているようにも見えます。
「彼女が生み出す母親像は、ある強靭さをもっている。なんとなくこんな風に囁いているようにも見える。『私は同時にもうひとつの別の場所にいるの』と。」(書籍『はじめまして、ルート・ブリュック』「母と子」の章より)