THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

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THE NIIGATA BANDAIJIMA ART MUSEUM

ギャルリ百草

ももぐさ、ブリュック語り 2「白」

多治見で「ギャルリ百草」を営む廊主、陶作家の安藤雅信さんが、地元である多治見について、またブリュックの作品についての印象を徒然に語ります。ギャルリ百草の写真とともに。全7回。
Photo Rui Mori

今でも色釉はたまに使うけれど、基本は白です。
やきものの歴史をたどっていくと、白に行きつくし、飽きがこないんです。

今から1300年前に中国の隋で世界初の磁器が作られました。
「玉(ぎょく)」という価値の高い鉱石のような、光を透かす焼物を目指して作られるようになったんです。
その後ベトナムと朝鮮でも作られるようになり、更に遅れて日本では1600年頃に有田で磁器の生産が始まった。日本の磁器は世界で4番目。欧州では1710年、マイセンで磁器を作るようになりました。

では、それまで陶産地では何をしていたか。

磁器に少しでも近いもの、陶器でなんとか白いものを作ろうとしていたんです。白いものには価値があるとされていたし、高価な磁器に少しでも近付きたかったから。

朝鮮は「粉引」、オランダは「白釉」、イギリスは「ボーンチャイナ」。日本では美濃の「白志野」がそれに当たります。みんな磁器へのオマージュですよね。磁器を作りたいけれど、原料を発見できなくて、でも、とにかく白いものを作ることに邁進した。

白い陶器がおもしろいのは、それぞれの国の個性が出ているからです。
磁器は中国の綺麗な白を目指すのでみんな似てくるけれど、陶器は見ただけで、土も、作り方も、焼き方もそれぞれの陶産地の癖のような物が出ていて違っている。「これは何年代のフランスだね」って。

アジアとヨーロッパを比べても、全然成型方法や焼き方が違います。僕はよく、そばとうどんに喩えるんです。磁器はそば、陶器はうどん。そばの頂点は似ていて、どこで食べてもだいたい同じような感じになる。うどんは頂点を目指さず、地域に根ざして個性がある。

そういう意味で、磁器もいいけれど、白陶のほうが、職人の知恵と経験、素材とか、その土地の個性が現れるので、おもしろいなと思います。それで僕は、白い釉薬の種類を沢山作り、様々に展開しているんです。

ギャルリ百草の2階で

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